修士論文要旨

相互依存ネットワークにおける混雑度を考慮した経路制御"

宮尾 泰良 (2020年2月)

技術の進歩によって、様々な端末がインターネットなどを介して接続され、相互に大量のデータをやりとりすることが可能になった。これらのデータをただ闇雲に転送していたのでは、目的地に到達することが保証されず、到達したとしても時間がかかってしまう可能性がある。そのため経路制御、すなわちデータを目的地に届けるためにはどのような経路を通って、転送すればよいのかをなんらかのメトリクスを基に決定する必要がある。経路制御を考える上で、データの平均転送時間の短縮は最重要達成項目の一つであり、これを目指して今日まで多くの研究が行われてきた。

現実に存在するネットワークは、単体で独立して存在しているのではなく、互いに何らかの影響を及ぼし合う複数のネットワークの集合体として存在している。これをモデル化した多層ネットワークは、単体のネットワークだけを対象として議論していたのでは理解できない事象が存在することを明らかにした、特に、複数のネットワークが相互に依存する関係にあることを表した相互依存ネットワークは、現実のネットワークの挙動理解を助けるモデルとして近年注目を集めているが、経路制御を相互依存ネットワーク上で議論することは、問題が複雑化するため取り扱うのが難しい。この原因として、相互依存ネットワークの特性が十分に解明されているとは言い難いことに加えて、互いに依存する別のネットワークへの経路を考える必要があること、また、ネットワーク内経路を他方のネットワークおいて全く異なる経路として対応付ける必要があることが挙げられる。

そこで本研究では、相互依存ネットワークにおける経路制御の研究を前進させる一助となることを目指す。データセンタのような物理的な要素によって構築されるネットワークと、その上で構築される仮想的なネットワークからなる相互依存ネットワークを対象とし、混雑するノードを動的に回避するために、ノードのキューの長さをノードの混雑度と見立て、それに基づく経路制御手法を考案した。その結果、データの生成量がそれほど多くない環境下においては、先行研究の手法よりも短い平均転送時間を実現した。