修士論文要旨

CCN上のストリーミングにおけるキャッシュ管理

赤堀 優毅 (2019年2月)

近年、動画や音声などのマルチメディアコンテンツはインターネットに流れるトラフィックの大部分を占めている。インターネットは依然としてIPアドレスにより通信相手を指定する通信方式を取っているが、ユーザは目的のコンテンツを取得できるならば通信相手をあまり重要視しない。すなわち、ユーザの利用形態と実際の通信方式の間にある、通信相手の重要性の乖離が生じていることから、トラフィックの増加などの問題が発生することが明らかになった。そこで、コンテンツ名で経路制御を行うContent Centric Networking(CCN)が提案され、注目を集めている。

現在のインターネットにおけるマルチメディアコンテンツの配信には、ストリーミングがよく用いられている。ストリーミングプロトコルのデファクトスタンダードとして、HTTPを使い一般的なブラウザで配信コンテンツを再生できるHTTP Live Streaming(HLS)がある。HLSでは、動画を複数のセグメントに分割し、それらの所在を記述したインデックスファイルに従ってセグメントを順次1つずつ要求することで、動画の取得を行う。

動画配信の需要が高まっているにもかかわらず、CCNにはこのようなHLSを効率的に扱う仕組みが標準的に備えられていない。これまでに、CCN上でストリーミングを実現するための様々な研究が行われてきており、その中でCCN上でHLSの動作を実現する手法が提案されている。しかし、この手法において、サーバ・ユーザ間のルータにおけるキャッシュ管理が考慮されておらず、特に、HLSの動作をそのまま適用しているため、動画の要求に大量のパケットが必要となることが大きな課題である。

そこで本研究では、要求に使われるパケット数を抑えるため、HLSで用いられるインデックスファイルに関連付けたキャッシュ管理手法を提案する。この手法では、セグメントを要求する代わりにインデックスファイル名を用いた要求にして、サーバもしくはセグメントをキャッシュしているルータがその要求を受け取ったら、セグメントを順次送信する。そうすることで、要求に必要なパケット数を抑えた動画受信が可能となる。そして、本研究では、提案手法の評価を行うために、計算機上でシミュレータを作成し、実験を行った。その結果、要求に使われるパケット数が、従来の手法に比べて大きく下回ることを確認した。