修士論文要旨

クラウドフェデレーションにおける管理用VMの動的移動による負荷均衡化と障害対応

井城 渓介 (2018年2月)

クラウドコンピューティングでは、プロバイダがネットワークを介してユーザに計算資源を貸し出し、ユーザは自身で計算資源を管理せず、利用したい時に、利用したい性能の計算資源を素早く利用できる。そのため、ユーザはコストの削減が可能であり、企業や個人まで幅広いユーザを集めている。

クラウドの発展形として、複数のクラウドが連携するクラウドフェデレーションがある。クラウドフェデレーションでは、複数のクラウドがユーザからのリクエストを共有することで、単一のクラウドでは解決が困難である、計算資源の枯渇、地理的制約、ベンダーロックイン、データの法的制約といった課題を解決する。クラウドフェデレーションでは、クラウドの管理システムが全てのクラウドに指示を出す中央集権型クラウドフェデレーションと、管理システムが存在せず、クラウド間で直接指示を出し合うP2P型クラウドフェデレーションがある。特に中央集権型クラウドフェデレーションは各クラウドにかかる負荷が少ないため、大規模なクラウドでさえ過負荷に陥る現代において有効なシステムである。しかし、中央集権型クラウドフェデレーションには、管理システムに障害が発生した際に、クラウドを管理する存在が消失し、クラウドフェデレーション全体が停止するという課題が残されている。また、これまで様々な中央集権型クラウドフェデレーションの既存の研究では管理システムの配置場所について明示されていないため、まず、本研究では管理システムの配置場所としてクラウド内の余剰の計算資源を利用することを提案した。しかし、そうした場合、管理システムによる通信負荷によって、クラウドの本来の役割であるユーザへのサービス提供にも影響が出る可能性がある。

そこで本研究では、管理システムがあるクラウドに障害や高負荷が発生した際に、別クラウドに配置した予備の計算資源に管理システムを移行するシステムを提案し、管理システムの障害対応と負荷均衡化を目指した。そして、シミュレータを用いて、管理システムの移動によるクラウドの負荷均衡化、障害への対応を確認し、さらに、ユーザへのサービス提供速度の低下とサービス提供数の減少がないことを確認した。