卒業論文要旨

ネットワークスライシングにおける動的なスライス割当て

鈴木 茉美 (2018年2月)

近年、モバイルデバイスの普及率が著しく増加しており、人だけでなく、様々なモノを新たにインターネットに接続するIoT(Internet of Things)などで、医療、製造、自動車などの様々な業界でデバイスを利用するため、移動通信ネットワークのトラフィックはさらに増加すると考えられる。

各業界でのユースケースとサービス品質を表すQoS(Quality of Service)の要求は様々であり、それぞれに適した通信をするため、2020年から運用予定の第5世代移動通信システム(5G)では、データの用途やデバイスの種類に応じたQoSで最適に通信するために、ネットワークスライシング技術が用いられる。ネットワークスライシングは、物理ネットワークを複数の仮想ネットワークに分割し、端末種別やサービスに応じて最適な性能を持つネットワークをスライスとして独立して提供する。ネットワーク資源を柔軟に活用し、スライスの要件を満たすために必要な機能のみを提供してネットワークの利用率の向上を目的とする。

しかし、この技術は構想段階であり、いまだ仕様が明確に定まっていない。中でも、サービスまたはデバイスからの多様なQoS要求を適切なスライスに割り当てる方式は研究が進んでいない。いくつか提案されている方式では、時間ごとに変化するネットワークの状況やスライスの状況にスライスを対応できておらず、要求を拒否されたサービスは、希望するスライスが空くまで待ち続けなくてはならない、という課題がある。

そこで、本研究では、上記の課題の解決に向け、優先度に従った幾つかのQoSのリストをサービスに持たせ、HTTP Live Streaming技術を応用し、サービスをセグメントごとに適切なスライスを割り当てる方式を提案する。提案方式では、スライス割当ての可否を判定するオークションをSlice Brokerが行う。提案方式により、ユーザからのQoS要求とスライスのQoSとが完全一致する場合や、より優先度の高いサービスの妨げにならない場合のみスライスを割り当てるのではなく、状況に応じて適切にスライスを切り替えることができる。また、サービスの待ち時間を減らし、サービスが効率的にスライスを活用できるようになる。