卒業論文要旨

IoTにおけるアクチュエータの要求に応じた情報配信

村田 俊 (2018年2月)

近年、自動車や家電製品、医療機器等の様々なモノをインターネットに接続するIoT(Internet of Things)が注目されている。サーバやクラウドが、インターネットに接続されたモノから様々な情報を収集し分析することによって、有益な情報を抽出する。サーバやクラウドが、その得られた情報をアクチュエータへと送信することで、アクチュエータはその場の状況や条件に応じた最適な動作を行うことができる。しかしながら、データ収集・分析によって得られた情報をどのようにして各アクチュエータに与えるのかに焦点を当てた研究事例は少ない。

そこで本研究では、アクチュエータへのフィードバックの仕組みとして、アクチュエータの要求に応じた情報を配信するネットワークの実現を目指す。この目的を達成するために、Publish/Subscribe型メッセージングモデルであるDirected Diffusion を適用させることを考えた。しかし、本研究の想定環境に従来のDirected Diffusion をそのまま適用させた場合、InterestパケットとExploratoryパケットが大量に発生する問題と、IoTデバイスの移動によってDataパケットの転送経路が頻繁に切断されてしまうという問題が発生する。

そこで、他のTargetが使用している既存のDataパケットの転送経路に、新たなDataパケットの転送経路を繋げる手法を提案した。この手法では、Interestパケットを受け取ったノードに、Interestパケットと同じ内容の興味に対応する強化された傾斜が存在する時、Interestパケットの転送を中止し、そのノードからExploratoryパケットの転送を行う。この場合、InterestパケットとExploratoryパケットの転送が、TargetとSourceの間ではなく、Targetと中継ノードの間で行われる。その結果、InterestパケットとExploratoryパケットの転送回数を抑制することができる。また、切断されたDataパケットの転送経路の再確立をInterestパケットの再送によって行う場合も、InterestパケットとExploratoryパケットの転送がTargetと中継ノードとの間で行われる。そのため、従来のDirected Diffusionの場合よりも短時間で転送経路の再確立を行うことができる。

提案手法の有効性を確認するために、本研究の想定環境をシミュレータに実装し、実験を行った。その結果、InterestパケットとExploratoryパケットの転送回数が抑制され高い性能を示したこと、アクチュエータの要求に応じた情報配信が実現されていることを確認した。