卒業論文要旨

相互依存ネットワークとしてのSDNとそのカスケード故障

宮尾 泰良 (2018年2月)

従来のネットワーク科学では、ネットワークを単体のグラフとして捉え、そのグラフ上で特性の解析が行われてきた。その結果、スケールフリー性やスモールワールド性などが発見され、ネットワークの特性が明らかになりつつある。しかし、現実世界に存在するネットワークは単体で存在するわけではない。例として、実際の人間関係のネットワークとSNS上での人間関係のネットワークに着目する。それぞれは別物であり、別の形をとるが、SNS上での関係が実際の人間関係に影響することやその逆もあり得る。このようにネットワークは単体で存在するのではなく、お互いに関係しあって存在していると考えることができる。

ネットワーク同士の関係によって、単体のネットワークだけを見て議論していたのでは予想できない事象が起こり得る。代表的な例として、2003年にイタリアで発生した大規模停電が挙げられる。相互に依存関係のある電力のネットワークと制御のネットワークは、それぞれ単体では故障への耐性のある構造をしていたが、機能を維持する為にお互いを必要とするという依存関係があったため、一箇所の故障がネットワーク全体の故障へと拡大してしまった。

ネットワークを構成する際は、故障への耐性を持つようにするのが一般的である。そのため、ネットワーク同士の関係によって、故障への耐性が損なわれてしまう可能性は極力取り除きたい。しかし、ネットワーク同士の関係に関する研究はまだ始まったばかりであり、明らかになっていない部分が多い。そこで本研究では、お互いに関係しあって存在しているネットワークの一つである相互依存ネットワーク上で、故障の発生と伝搬のモデルを提案することを目的とした。

相互依存ネットワークの一つの例として、Software Defined Network(SDN)を挙げ、その上でカスケード故障と呼ばれる連鎖的に発生する故障の発生モデルを作成し、SDNにおいてもの故障への耐性が欠如する可能性を示した。