卒業論文要旨

車々間通信と信号機間協調による適応型信号機制御

木村 祐貴 (2018年2月)

現代において、解決されていない交通問題の一つとして交通渋滞が挙げられる。渋滞は経済損失や排出ガス増加などの問題を引き起こす原因となる。渋滞を解消するには、交通流の適切な制御が要求される。

多くの交差点には交通制御のために信号機が設置されているが、様々な要因や条件によって変動する交通流を適切に制御するのは難しい。このような課題を解決する手段として、自動車の通信技術が注目されている。通信技術の発展により、自動車に通信端末が設置されるようになり、道路に設置された通信機器と自動車が通信する路車間通信(Vehicle-to-Infrastructure、V2I)や、他の自動車との間で通信する車々間通信(Vehicle-to-Vehicle、V2V)を用いた情報のやりとりが可能となった。このV2IやV2Vを用いて車両情報を収集し、得られる情報から道路状況を把握して、道路状況に応じたリアルタイム制御を行う適応型信号機制御が提案されている。

すでに提案されている自動車の通信を用いた適応型信号機制御の手法は、各交差点ごとに単独で制御される地点制御であり、他の交差点との連携は考慮されていない。そのため、赤信号で停止していた自動車が青信号により発進し、次の交差点に到達したときに赤信号で再度停止を余儀なくされることがある。このような要因から、地点制御で各交差点における最適な制御を行ったとしても、系全体としては最適な制御とならない可能性がある。そこで、本研究は信号機間で通信を行うことによって、各交差点が求めた最適な制御パラメータを隣接交差点間で共有し、そのパラメータの中から対象範囲全ての交差点における最適なパラメータを選択する系統適応型信号機制御手法を提案した。

シミュレーション実験の結果、交差点間の距離が小さい道路環境では、交通量の多い主道路を走行する自動車の停止回数及び遅延の低減が可能であった。また、交差点間の距離が大きい道路環境では、主道路の交通量が非常に多い場合において停止回数及び平均遅延の低減が可能であった。